スタッフだより|マンション大規模修繕コンサルタント 【株式会社MDS(エムディエス)】

スタッフだより

はじめに

(株)MDS代表の村上です。

私達MDSのスタッフが、これまで経験してきたマンション大規模修繕の設計コンサルティングに関して、理事会や修繕委員会の皆様に、現場の生の声をお伝えしていくために「スタッフ便り」と題して、ブログをスタートしました。

内容は、大規模修繕のコンサルティングに関するものや、使用する材料や工法の話、また、実際に弊社スタッフが担当した工事監理において体験した事柄をお話していく予定です。

現在、お住まいのマンションの大規模修繕をお考えの皆様の参考になればと思います。

 

これまで担当させて頂いた、3回目以上の大規模修繕を行う築年数のマンションの管理組合の皆様の純粋な疑問は、今回は大規模修繕を行うけど、果たしてこのマンションは、あと何年持つのかということです。実際にこの件での問い掛けも多くいただきます。

そこで、第1回目は「マンションの寿命」についての話です。

鉄筋コンクリート造マンションの「寿命」に関しては、明確な基準はありません。ただ、「耐用年数」という考え方にはいろんな側面があります。先ず減価償却上の法定耐用年数は60年(築年度に拠り47年)という基準があります。しかし、これは経済的な側面からの基準でしかありません。

一方、物理的な側面からは、コンクリート強度による供用限界期間は、24/m㎡で100年、18/m㎡で65年とされています。また、日本建築学会が定めた耐久設計基準強度では、18N//m㎡で30年、24N//m㎡で65年、30N//m㎡で100年の間大規模修繕が不要とされています。

JASS5鉄筋コンクリート工事計画で定められた計画供用期間の級

耐久設計強度

計画供用期間の級

大規模修理不要期間

供用限界期間

30N/mm2

長期

100

24N/mm2

標準

65

100

18N/mm2

一般

30

65

但し、3回目以上の大規模修繕対象の建物は旧耐震基準で設計されているものが多く、構造体の耐震性能という立場に立って考えると、一度耐震診断を行い耐震性能を確認し、若し耐震性に劣る部分が有れば、耐震補強を行い構造躯体の維持を行う必要が有ると思います。

また、構造体の耐用年数よりも早く問題になるのが、設備機器や配管の劣化、また社会的な変化に拠る設備の陳腐化という事態です。これらに対しては、定期的な保守点検を行い、計画的な修繕や改良工事を住民合意の下に行っていく必要があります。また、これまで日本では「スクラップ&ビルド」の考え方が主体で、適切に修繕して永く使い続けるという視点が弱い面が有りました。また、マンションそのものが約50年余の歴史しかなく、寿命がきて建替えるという段階に来ていません。実際に建替えが行われたのは 、バブル期の地価高騰時等に事業的な視点での建替えがほとんどだと思われます。

ところが、この50余年目になり、今まさにマンションの寿命と建替えという問題に直面せざるを得ない時期に差し掛かってきて、冒頭の皆さんの疑問が沸き起こってきたと言っていいでしょう。

ただ、マンションの建て替えについては、現状では非常に難しい状況です。マンションの建替え決議を行うこともそうですが、何より建替え資金が大きな問題となります。容積率に余裕が有るようなマンションはほとんどありませんので、市・区によって容積率の上積みの見直しや、総合設計制度による容積緩和を受けて余剰床・保留床の確保が出来ればまだ可能性もありますが、それにしても各区分所有者の資金や仮住まい等の負担は大変です。景気状況や高齢化に伴い建替え一時金の負担は非常に難しいと思います。

以上のことから考えても、計画的で適切な修繕・改良と維持管理による「マンションの長寿命化」を目指すことが良いと考えます。長期修繕計画を基に保守点検を行い、適切な時期に適切な修繕や改善工事を行うことで長寿命化が計られると考えます。そして建物の劣化度合いを判断し、併せて経済状況や建替え等の法的緩和等の状況判断を行い、構造体も含めたリニューアルや、最終的な建替えの判断の段階に行くことになると思います。

「マンションの寿命」は、基本的にはそのマンションの住民と管理会社そして、我々設計コンサルタントのアドバイスにより創り上げるものではないかと思います。

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